お知らせ令和6年度2月学長記者会見
令和6年度2月学長記者会見
- 日時
- 2025-0227
- 場所
- 県庁記者会見室

▲説明をする北野学長
【事項1】アルツハイマー病の早期スクリーニングのための脳内 アミロイドベータ蓄積予測モデルを開発
~かかりつけ医による日常診療で収集可能なデータを 用いた機械学習モデル~
国立大学法人大分大学、エーザイ株式会社は、このたび、年齢・性別・喫煙歴・既往歴などの背景データ、一部血液検査データおよびMMSEの各項目を組み合わせた、脳内のアミロイドベータ(Aβ)蓄積を予測する機械学習モデルを開発しました。
本モデルにより、かかりつけ医による日常診療の中でアルツハイマー病(AD)の重要な病理である脳内Aβの蓄積を予測し、簡便なADの早期スクリーニングが可能になると期待されます。
なお、この内容は2025年1月21日に査読付学術専門誌である「Alzheimer's Research & Therapy」オンライン版に掲載されました。
現在、脳内のAβ蓄積は、陽電子放出断層撮影(アミロイドPET、や脳脊髄液検査(CSF検査)で検出できますが、高額な検査費用や身体への侵襲性などが課題とされています。
そのため、近年ではより簡便なスクリーニング法として、様々なAD関連の血液バイオマーカーに関する研究が数多く行われています。しかし、日常診療データによる脳内Aβ蓄積の予測性能を評価した研究は、ほとんどありません。
本研究は、認知症診療で日常的に収集される年齢・性別・喫煙歴・既往歴などの当事者様の背景データ、腎機能・肝機能・甲状腺機能などの一般血液検査データ、MMSEの各項目からなる34項目の臨床データを使用して、アミロイドPET陽性を予測する機械学習モデルを開発した初めての研究となります。
今回開発した機械学習モデルは、日常診療の中で収集可能な臨床データを使用して脳内Aβ蓄積を予測することができるため、かかりつけ医によるADの早期スクリーニングに広く利用可能となることが期待されます。
また、アミロイドPETやCSF検査の要否判断に活用されることで、ADの早期段階での診断や治療開始、ならびに当事者様の経済的および身体的な負担の軽減につながることが期待されます。
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【事項2】認知機能と運転特性の関連について、大分県臼杵市で共同研究を開始
~認知機能低下の早期発見・予防で、安全に長く運転を続けられ る社会の実現を目指して~
国立大学法人大分大学 、スズキ株式会社、一般社団法人臼杵市医師会は、認知機能と運転特性の関連を明らかにするため、認知機能が低下した場合に現れる車両の操作や挙動の特徴を明らかにすることを目的とした共同研究を開始します。
急速な高齢化が進み、年齢や身体的な機能の衰えから運転に不安を感じる方々がいる一方で、自動車は生活の足として地方にお住いの皆様の移動の需要を支えています。
本共同研究は、高齢者の日常運転の分析により、認知機能低下の早期発見、さらに認知機能低下の予防にもつながるもので、高齢者のドライバーが安全に運転できる期間の延伸も期待されます。
本共同研究によって、より多くの方々が、より安全に自由に移動できる豊かなモビリティ社会の実現を目指します。
本共同研究では、臼杵市医師会に所属する、かかりつけ医の協力のもと、臼杵市在住の65歳以上の高齢ドライバーを募集します。
その後、臼杵市医師会立コスモス病院、臼杵市医師会立市民健康管理センター及び本学医学部神経内科学講座が協力し、認知機能テストや運動機能検査、脳の形態・機能検査等の様々なデータを収集します。
2か月間の日常運転データ取得後、スズキ横浜研究所にて分析を行い、認知機能と運転がどのような関係を有しているか検証します。
今後、本研究で得られた成果を基に、日常運転から認知機能の低下を検出する技術の開発に加え、日常運転データを活用して個人に合わせた安全運転のしくみを提供するなど、一人ひとりが安心・安全に移動できる新たな価値の創出に取り組んでいきます。
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【事項3】大分大学発の先進医療
「腹腔鏡下卵巣癌・卵管癌・腹膜 癌根治術に関する臨床研究」が3月1日より開始
近年、腹腔鏡下手術の機器、技術の進歩により、海外では婦人科悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術が積極的に行われている。
我が国では現在、子宮体癌や子宮頸癌に対する腹腔鏡下手術は保険診療で行うことが可能である。一方、卵巣癌に対する腫瘍腹腔鏡下手術は保険適応となっていないが、海外では良好な成績が蓄積され、卵巣癌に対する腹腔鏡下手術も広がっている。
今回の認められた先進医療では、(1)摘出可能と判断される卵巣癌、(2)卵巣摘出後に悪性もしくは境界悪性と診断され追加手術が必要となった卵巣癌、(3)術前化学療法後に病変が消失または著明に縮小した卵巣癌を対象として卵巣癌手術を腹腔鏡下で行い、同時期に行われた開腹手術との治療成績の前向き比較を行う。
卵巣癌症例に対する腹腔鏡下手術の実行可能性、安全性、予後を評価し、将来、腹腔鏡下卵巣癌手術を保険診療とすることを目的としている。
現在の卵巣癌に対する手術は、恥骨上縁から剣状突起に達する上・下腹部正中切開(30~40cm)による開腹により行われており、婦人科領域において最も侵襲が大きい治療の一つで、腸閉塞などの術後合併症も多い手術である。
腹腔鏡下卵巣癌手術では、5~12mmの数か所の小孔を用いて行う方法で、海外の報告では開腹術との比較で手術侵襲の軽減、術後疼痛の軽減、術中出血量の減少、入院期間の短縮、早期社会復帰などがみられ、患者の QOL にも著しい成果があるといわれている。
卵巣癌症例に対して腹腔鏡手術を選択すれば安全に施行可能で、手術後の治療にも速やかに繋げることができると考えている。
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【事項4】大分大学高度情報人材育成交流会館「B-Core」開所式の開催
本学では、デジタルの成長分野を牽引する高度専門人材育成を目的として、令和6年度に「DX人材育成プログラム」を開始しました。当該会館は、上記プログラムを実践する場です。DX人材育成のための叡智を結集し、デジタルによりイノベーション創出のための核(コア)となる共創拠点となります。令和6年6月から改修を行い、令和7年1月31日に完成しました。
改修建物は、2階建てで、1階に「B-Core 高度情報人材育成共創エリア」、2階に研究室及び学生ラウンジを設けております。
令和7年3月28日(金)には、関係者の方々をお招きし、開所式及び内覧会を実施しますので、ご案内いたします。
【事項5】タイ王国の協定校から臨床実習医学生受け入れ
タイ王国とは、マヒドン大学シリラート病院内にバンコクオフィスを設置(2015年)して以来、積極的な交流を継続しています。
今回、本学が交流協定を締結している、マヒドン大学と、プリンス・オブ・ソンクラー大学から、医学部医学科4年生の計7名が大分大学医学部を交換留学で訪れ、約1ヵ月の間、大分大学医学部附属病院で臨床実習を行います。タイからの臨床系の学生受け入れは今回が初めてです。
実習中は、本学医学部医学科の学生とともに臨床実習に参加し、医学的な指導を受けるとともに、学生交流を通じて国際理解を深めます。
タイの大学との学生交流は、本学バンコクオフィスにとって重要な交流事業の一つです。これまで、タイの大学からは、主に医学基礎研究室への短期留学生を受け入れてきました。今回、臨床各講座の協力もあり、初めて臨床実習の学生を受け入れることになりました。
受け入れる大学、期間、受け入れ講座は以下の通りです。
▶マヒドン大学シリラート病院
2025年2月25日(火)~ 3月21日(金)
医学部医学科4年生、3名
受け入れ講座:消化器・小児外科学講座、救急医学講座
▶プリンス・オブ・ソンクラー大学
2025年3月3日(月)~ 3月28日(金)
医学部医学科4年生、2名
受け入れ講座:消化器・小児外科学講座
▶プリンス・オブ・ソンクラー大学
2025年3月24日(月)~ 4月17日(木)
医学部医学科4年生、2名
受け入れ講座:整形外科学講座
【受け入れ期間】令和7年2月~4月
【取材可能日時】3月10日(月)10:30~11:30(消化器・小児外科学講座、救急医学講座)
その他の情報
【事項1】令和6年度 卒業式・学位記授与式の挙行
令和6年度卒業式・学位記授与式を3月25日(火)に挙行します。
※式典の様子を後日、映像配信予定です。(写真:昨年度の様子)
【開催日時】令和7年3月25日(火)10:00~10:40(予定)
【開催場所】iichiko総合文化センター「iichikoグランシアタ」
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【事項2】令和7年度 入学式の挙行
令和7年度入学式を4月2日(水)に挙行します。
※式典の様子を後日、映像配信予定です。(写真:今年度の様子)
【開催日時】令和7年4月2日(水)10:00~10:40(予定)
【開催場所】iichiko総合文化センター「iichikoグランシアタ」
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【事項3】大分の教育の未来をみつめるシンポジウムX
想像を創造に変えていくイノベーション ~宇宙×探究 メタバース×探究~
第10回目となる「大分の教育の未来をみつめるシンポジウム」では、先端領域に挑む県内の高等学校に関するユニークな取り組みについて話題提供をし、未来社会を創造する生徒の学びについて「探究」というキーワードから追究します。
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【事項4】おおいた大学発リカレント教育第2回シンポジウム
~ “学び” で成長 個も組織も!~
本シンポジウムでは、令和6年度の本学における具体的な取り組み状況の紹介やリカレント教育プログラム修了者の成果報告とともに、文部科学省による講演、先進的な取組を行なっている企業経営者による講演が行われます。
また、「マイスターコース」の認証条件をクリアした修了者に対し、おおいた地域連携プラットフォームから「おおいた共創士マイスター」認証書授与式も併せて行います。
今年度は11名が授与予定となっています。
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【事項5】大分大学グローカル感染症研究センター講演会
大分大学グローカル感染症研究センターでは、大分県におけるワンヘルスの取り組みとして、人獣共通感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、感染リスクや感染対策の周知、最新情報の共有、そして大分県におけるSFTSの現場から得られる知見を広く発信することを目的に講演会を開催します。
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【事項6】大分大学福祉セミナー「大分県におけるこどもまんなか社会的養育の未来」
基調講演:真に⼦どもの最善の利益を考慮した社会的養育の推進とは(仮)-家庭養育の推進を中⼼にして-
塩崎恭久⽒(元厚⽣労働⼤⾂ 元内閣官房⻑官)
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【事項7】大分県てんかん支援拠点病院 第2回市民公開講座
毎年3月26日はパープルデー(てんかん啓発の日)です。
今年で2年目となる「パープルデーおおいた」では、てんかんに関する知識を広め、 偏見や差別を減らすこと、そして患者さんとその家族への支援を促進するためセミナーやパープルライトアップ、パネル展示を行います。
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【事項8】大分大学医学部附属病院市民公開講座 認知症になっても安心して暮らしていけるために
~認知症看護認定看護師からのメッセージ~
認知症は誰もがなり得るものであり、多くの人にとって身近なものとなっています。自分の住み慣れた場所で、大切な人と自分らしく暮らし、療養場所が変わっても安心して過ごすことができるように、認知症看護の専門家が話します。
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【事項9】令和7年度(2025年度)前学期大分大学公開授業
大分大学公開授業では、本学公開授業に関心のある方を対象に大分大学の学生が受講する大学の正規の授業を開放します。
開講される通常の授業を、学生と一緒に受講するものです。この機会に是非ご応募ください。
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