お知らせ令和6年度10月学長記者会見

令和6年度10月学長記者会見

日時
2024-1030
場所
県庁記者会見室
令和6年度10月学長記者会見

▲説明をする北野学長

【事項1】新発見!胃の細菌が私たちの健康と進化の秘密を握る
 ~国際学術誌『Nature』に「Helicobacter pylori の古代生態系」が掲載~

10月16日に「Helicobacter pylori の古代生態系」という研究で、国際学術誌『Nature』(インパクトファクター50.5)に掲載されました。 大分大学環境・予防医学講座の山岡𠮷生教授、上海免疫感染研究所(SIII)のダニエル・ファルシュ教授、スウェーデンのヨーテボリ大学のカイサ・ソレル教授が、人間とその胃の細菌との長い歴史的関係について新たに詳細を明らかにしました。
本学の教員が、責任著者としてNature本誌に掲載されるのは、初めてになります。

1983年に発見されて以来、ピロリ菌は年間約100万件の胃がんや他の致命的な胃の病気を引き起こす原因として悪名高い存在となりました。
また、この細菌は、我々の先史時代にも多くの胃痛を引き起こしていた可能性があり、過去の山岡教授やファルシュ教授らの研究によれば、この細菌は10万年以上前から人類の胃に寄生していることがわかっています。(Nature 2007)
本研究では、世界中から収集した約7,000のピロリ菌を含むヘリコバクター属のゲノムを使用して、ピロリ菌が世界に拡散していく状況を調査しました。
その中で、彼らは「ハーディ生態系種」と名付けられた非常に異なるピロリ菌の変種を発見し、この種は何十万年も前に発生し、我々と共に世界中に広がったと提唱しています。
このピロリ菌は、主に肉や魚を食べる人々(肉食の人々)の胃に特化して生息していると考えられています。つまり、我々の胃の中にいる細菌の遺伝的多様性は、祖先が何を食べていたかについての情報を有しています。
今回の発見は、胃がんや胃潰瘍など、胃の病気の原因をさらに詳しく理解し、それに基づく新しい治療法や予防策の開発に貢献することが期待されます。

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【事項2】アルツハイマー病の診断がかかりつけ医で可能に !?
 ~大分大学・島津製作所・エーザイ・臼杵市医師会の共同研究の結果を国際学術誌に発表~

大分大学医学部神経内科学講座、株式会社島津製作所(以下 島津製作所)、エーザイ株式会社(以下 エーザイ)、および一般社団法人臼杵市医師会(以下 臼杵市医師会)は、臼杵市を実証立地としたコホート研究において脳内アミロイドβ蓄積予測能を評価しました。この内容は2024年10月16日に国際学術誌「Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」で公開されました。

本共同研究は、血液バイオマーカーを活用し、アルツハイマー病の診断ワークフローを日本で初めて構築する試みです。2015年から2019年に臼杵市で行われた前向きコホート研究において軽度認知障害(MCI)を有する65歳以上の高齢者から採取し、凍結保存されていた血漿検体を用いて、地域コホートにおける血液バイオマーカー検査の脳内アミロイドβ蓄積予測能を評価するフェーズ1試験と、新規に募集した被験者(100例)の血漿検体を用いた前向き研究であるフェーズ2試験で構成されます。フェーズ2試験では、かかりつけ医から認知症の関連学会専門医に至る医療連携体制において、被験者への検査結果開示を行い、血液バイオマーカーの有用性の評価や心理的な影響の評価を行っています。

今回の論文は主にフェーズ1試験の結果をまとめたものです。島津製作所の測定した血液バイオマーカーは、アミロイドPET検査結果の予測能を評価するArea Under the Curve (AUC)の値が、0.943となり、地域コホートにおいても高い精度でアミロイド PET 陽性者を識別しました。さらに、ベースライン時に血液バイオマーカーが高値であると,7年間の観察期間におけるアルツハイマー型認知症の発症リスクが高い(ハザード比10.74)ことが確認されました。血液バイオマーカーは低侵襲の検査であるため、アミロイドPETや脳脊髄液検査の代替マーカーとなれば、患者の負担を軽減することができ、さらに、将来的な認知症発症の予測にも役立つ可能性があります。今後は、既にデータ取得が完了したフェーズ2試験についても解析を進め、研究全体の成果報告を実施する予定です。

4者は本共同研究を通じて、かかりつけ医から認知症の関連学会専門医に至る診断ワークフローにおいて、アルツハイマー病の早期診断に寄与するエコシステムを構築することで、当事者様や家族が安心して生活できる社会の実現を目指してまいります。

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プレスリリース

【事項3】日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)により
 タイ王国高校生らを招へい

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の公募事業「さくらサイエンスプログラム」の採択を受け、タイ王国の医学部進学者が多い理系の高校(マヒドンウィッタヤヌソンスクール、プリンセスチュラポーンスクール)から生徒13名と教員1名を招へいします。
本事業は、2014年から開始され産学官の緊密な連携により、アジアを中心とする地域から優秀な若者を短期間日本に招へいし、人文科学及び社会科学分野を含む科学技術分野における日本と全世界の国・地域の青少年の国際交流を推進する事業です。

本学は、本事業が開始した2014年から継続して採択されており、今年度で10回目の実施です。
滞在中は、本学教員の指導による手術手技(縫合)の実習、医学セミナーや本学学生との交流会などを通して、日本の高い科学技術に触れてもらいます。

■滞在期間:令和6年12月2日(月)~12月8日(日)
■実施場所:大分大学医学部(挾間キャンパス)等
■主なスケジュール:
12月3日(火)9:00~ 医学部歓迎行事、附属病院見学
       14:00~ 消化器外科講座、外科糸結び、腸管縫合体験
12月4日(水)9:00~ 医学セミナー
       13:30~ 医学部学生との交流会
12月5日(木)終日 大分県立大分舞鶴高等学校訪問
12月6日(金)終日 企業訪問(見学)・日本文化体験
12月7日(土)終日 大分県立大分舞鶴高等学校との交流会

(参考リンク)さくらサイエンスプログラム

その他の情報

【事項1】宇宙を学べる大学in九州2024
 ~宇宙・天文を学べる九州・近隣地区の8大学が大分に集結!~

宇宙・天文学に興味をもつ学生は多いですが、宇宙・天文分野だけの専攻を持つ大学は少なく、各大学での教育・研究活動・就職情報などを知る機会は少ないのではないでしょうか。
11月17日に九州や近隣地区を中心とした大学の合同進学説明会「宇宙を学べる大学in九州2024」を、大分で開催することになりました。
最先端の宇宙の話を聞ける講演会や、研究者と直接お話しできる個別相談会も同時に開催します。
大分をはじめ九州地区に在住する、宇宙・天文に興味のある中高生、大学院進学を目指す大学生、理科担当・進路指導の教諭、保護者の方々、みなさまのご参加をお待ちしております。講演会のみの参加も歓迎します。

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【事項2】令和6年度第4回大分大学医学部附属病院市民公開講
  「生活習慣を変えることから、うつや認知症を予防しよう」

大分大学医学部附属病院市民公開講座では、県内在住の市民の方々を対象に、医学部附属病院の医師や看護師が、最新の治療法や、現在行っている研究、それぞれの病気で気をつけることなど、生活に役立つ情報をお話ししております。
年に4~6回、各診療科や部門でそれぞれテーマを定め、専門的な知識や経験を元に分かりやすくご説明いたします。

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【事項3】大分大学学園祭が11月2日(土)から開催!

【第22回大分大学医学部「夢を与える医学部祭」】
 ■開催日時:令和6年11月2日(土)~3日(日)
 ■開催場所:大分大学挾間キャンパス

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【 第11回蒼稜祭「Novel」~新しい章の幕開け~】
 ■開催日時:令和6年11月2日(土)・ 3日(日)・ 4日(月)10:00~18:00
 ■開催場所:大分大学旦野原キャンパス

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【事項4】大分大学開放イベント2024

どなたでもご来場いただけます!楽しい時間をお過ごしください!
【同時開催】大分大学 学園祭

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【事項5】ホームカミングデー2024

同窓会連合会発足10年多数のご参加を!

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【事項6】秋の体験実験&模擬講義2024

化学・物理・機械・建築など理工学部の世界をのぞいてみよう!

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【事項7】彫刻をさわる時間2024シンポジウム 素材と触覚

彫刻をさわるときの素材の感覚について考えます。大分県立盲学校でのワークショップの講師に、竹を用いた立体造形の作家・長谷川絢氏と竹工芸の研究者・武関真衣氏をお招きします。

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